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最少文字タイトルの絵本


絵本の原点か?~1字で表現できる絵本

今年も押し迫ってきて、新年までに残された時間が、
あまりないので、1字タイトルの絵本を選んだ。
そうではなくて、「本当はだんだん年齢が増して、文字が読みにくく
なったので、1字で済む絵本を選んだのだろう」と言われても、
「そうでもないんです」と反発する自信もない。

文字なし絵本は、たくさん出版されているが、1字でタイトルを
表現したものは、あるようであまりない。
そんな中で、少ないが、短歌の絵本版とでもいうべきか、一文字
タイトルの貴重な絵本が出版されている。
長田弘作、山村浩二絵『ん』
しりとりでは、「ん」で終わると負けることから、トランプの
ババ抜きのジョーカーのように嫌われているのが「ん」だ。
絵本『ん』が出て、「ん」にも「ん」(運)がついてきた
ようだ。絵本『ん』の帯では、「『ん』はおまけでも
脇役でもありません。とっても大切な言葉です。
あいうえお表のはじっこからやってきて、とうとう
絵本の主役になりました!」「『ん』たった1もじなのに、
こんなにもおもしろいにほんご」と書かれている。
これは、単なる、宣伝文句として見過ごすことはできない。
絵本の中を見ると「なるほど」と合点がいく。
各ページに、文字は「ん。 そう。」 「ん? そうなん?」
といった調子で書かれているだけだが、
その字の下には、眼と口だけの単純な線で描かれた絵しかない。
眼は開いたり、閉じたり、目玉が左右に動いたり、
口も閉じたり開いたりといった最小限の変化だけだ。
これだけなんだが、絵に合わせて、「ん」を発声すると
コトバが絵と一体になって、動きはじめて、会話になっていく
から不思議だ。
最小限のコトバと単純化された絵が、最大限のメッセージを
伝えるとは恐れ入った絵本だ。これこそが絵本の原点と言って
いいのではないだろうか。




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大槻あかね『あ』も数少な一字タイトルの絵本だ。
表紙のタイトルだけから、果たして何を想像しますか。
この絵本は、写真絵本だ。
小さな針金坊やが、彷徨い歩く中で、ビールのジョッキーなど
さまざまなものに出会う。
どうやら、出会うすべてのものが、初めてのようで、
出会うものに「あ」とか「よ」「は」「む」等と、驚きの
反応や、対象物の真似など、すべてが珍しいのか、好奇心旺盛に
挑戦していく。このしぐさや反応が極めて面白くて滑稽だ。
赤ちゃんが初めてのものに出会った時の反応にも似ている。
赤ちゃんがこの本を見れば、自分の姿をそこに見つけ出して、
興味を持つに違いない。
この絵本を見るだけでなく、声に出して、字を音にして発したら、
もっと臨場感が生まれて、現実に近くなってくる。
単純化された針金坊やと身近にある物とのかかわりは、
1字のオノマトペと共に赤ちゃんの生活そのものとして、
楽しく受け止められるに違いない。

1字ではないが、音にすれば1音といえる絵本も何冊か出ている。
字を音に転換するだけで、その音が、たちまちにして、赤ちゃんには、
コトバとして伝わって、絵本との会話が始まるから不思議だ。
一度試していただきたいので、何冊か表紙だけ紹介しておきたい。
涌嶋克己『あっ』『ほっつ』、中川ひろたか文、柳原良平絵『あっ』
ふくだすぐる『ちゅ』、舟崎克彦文、中田弘司絵『ぷう』
等です。


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Commented by Harumi at 2015-12-23 20:14 x
見たことない絵本ばかり…
こういうのに刺激されます(≧∇≦)
また探してみます。
先生より先に知る絵本ってあるのかなぁ(笑)
Commented by ehondamari at 2015-12-23 22:58
Harumiさん

マニアックなテーマを取り上げたと思います。
このようなテーマの選び方が、いいのかどうかは、
私個人の趣味のようなものですから、今後も、
もっと知らない絵本を取り上げていくと思います。
折角この世に生まれた絵本ですし、素晴らしいものが
沢山あるのですから、皆でその存在に気づいて、
多くの人のものにしていかなければならないと思います。
早速の反応に、ますますやる気が起こりました。
次も楽しみにしてください。
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by ehondamari | 2015-12-23 12:32 | Comments(2)

絵本で潤いのある生活を楽しむ


by ehondamari