酷暑に過去を思い起こす
2016年 08月 09日
暑い夏に思うこと
我が家の白色のワレモコウ
今日は、長崎に原爆が投下された日だ。
長崎は、母の故郷でもあり、特別の思いが蘇える。
この時期、オリンピック、甲子園高校野球、お盆休み
の道路渋滞等、いろいろなことが混ざり合っててんてこ
舞いだが、広島と長崎に原爆が投下された日と終戦記
念日の8月15日だけは、忘れてはならない、重い日だ。
お盆を前に、店先には盆迎えの品々や、食料品が沢山
並べられている。野菜も、この時期にきて豊富で、一時
期の品不足も解消されてきたようだ。さまざまな野菜の
中に、紫色のナスビがたくさん並んでいる。戦後の食糧
難の時には、毎日のようにナスビを食べたものだ。
幼くて、ひもじい思いをしたその頃のことは、今でもよ
く憶えている。
その頃の思い出と重なる、他人事とは思えない1冊の
絵本がある。
原田剛文、筒井則行絵『小学生のボクは、鬼のようなお母
さんにナスビをうらされました』がそれだ。普通には、
タイトルからして、長くて、インパクトが強く、手が出し
づらいかもしれない。表紙の絵を見れば、リアルですごみ
がありすぎて、ますます、買う気にはなれないだろう。
なのに、偏屈な私には、とても興味深く、表紙を見ただけで、
購入してしまった。さらに中を見て、自分の過去が再現されて、
目の前に突きつけられたような気がした。
この絵本は実話に基づいて作られている。作者は、私より
30歳ほど若いので、私の経験よりも30年後の話と言う
ことになる。主人公は、父50歳頃、母は40歳頃の高齢
出産で生まれた。家庭は貧しいナスビ生産農家で、優し
い両親に育てられるが、10歳の時、母が急に鬼になる。
団地まで車に乗せられていき、一袋100円のナスビを売っ
てくるように言われる。最初はなかなか売れなかったが、
鬼のように母に怒られるうちに、段々売れるようになる。
その頃、母は病に倒れ、入退院を繰り返して亡くなる。
その原因は、白血病だった。
母の死後、父は「おまえがナスビをうっているとき ア
イツはいつもクルマのなかでないとったんぞ」と教えてく
れる。母親は、まもなく死ぬことがわかっていて、心
を鬼にして、息子に「生きる方法」を教えていたのだ。
心を鬼にして、たくましい子を育てる。これは、昔では
よく行われていたかもしれないが、今ではどうだろう。
下手をすれば虐待と受け止められかねないことかもしれない。
昔も今も、ひたすら、子どもの幸せを願って、親は、子育て
をしていると思われるが、時代の変化で、子育てを眼に見え
るもので判断して、内面にある真実を見ようとしないが今日
の子どもの育て方ではなかろうか。
この絵本には、子どもの何年も先の姿を描いて、「厳し
そうで、温かい」心で、愛情に満ちた子育てをする基本が描
かれている。まさに「やさしさごっこ」による、表面的に結
びついている親子が、今一度子育ての原点を見つめ直すとき
ではないだろうか。
とはいっても、一面的な子育てに陥ってはならない。子育て
には愛に裏打ちされた総合性が求められる。親の身勝手で
歪めたしつけという名の暴力は、決して許されるものではない。
年々、虐待数は増え、残虐な事例も多くなってきていて、
看過できない状況になっている。
3月1日に本ブログで、MOMO文、YUKO絵『わかっ
てほしい』という虐待の絵本を紹介した。
今回は、もう一冊、虐待の絵本で、グロー・ダーレ作、
スヴァイン・ニーフース(大島香織・青木順子)『パパ
と怒り鬼ーはなしてごらん、誰かに―」を紹介しておく。
この絵本は、ノルウエーの話で、2011年に出版された
ものだ。3人家族の話で、父親の虐待から、いかにして
母子を救うかといった話で、「加害者が変わることが、
最大の被害者支援になる」と、結論づけている。なかでも、
虐待から解放されるためには、誰かに話すことが大切であ
ると強調している。
話は、結構長いが、この本と向かい合っているうちに、虐
待への向かい合い方が見えてくるように思える。同時に、
虐待の根の深さもわかってくる。
虐待の問題は、特効薬はないので、気長で持続的に取り組
んでいかなければならない気の長い課題だ。
あまりにも暑すぎる時期に、しっかり汗をかきながら安心と
平和を願って、過去の経験から正しい道を導き出す努力を
しなければならない。
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今日は、長崎に原爆が投下された日だ。
長崎は、母の故郷でもあり、特別の思いが蘇える。
この時期、オリンピック、甲子園高校野球、お盆休み
の道路渋滞等、いろいろなことが混ざり合っててんてこ
舞いだが、広島と長崎に原爆が投下された日と終戦記
念日の8月15日だけは、忘れてはならない、重い日だ。
お盆を前に、店先には盆迎えの品々や、食料品が沢山
並べられている。野菜も、この時期にきて豊富で、一時
期の品不足も解消されてきたようだ。さまざまな野菜の
中に、紫色のナスビがたくさん並んでいる。戦後の食糧
難の時には、毎日のようにナスビを食べたものだ。
幼くて、ひもじい思いをしたその頃のことは、今でもよ
く憶えている。
その頃の思い出と重なる、他人事とは思えない1冊の
絵本がある。
原田剛文、筒井則行絵『小学生のボクは、鬼のようなお母
さんにナスビをうらされました』がそれだ。普通には、
タイトルからして、長くて、インパクトが強く、手が出し
づらいかもしれない。表紙の絵を見れば、リアルですごみ
がありすぎて、ますます、買う気にはなれないだろう。
なのに、偏屈な私には、とても興味深く、表紙を見ただけで、
購入してしまった。さらに中を見て、自分の過去が再現されて、
目の前に突きつけられたような気がした。
30歳ほど若いので、私の経験よりも30年後の話と言う
ことになる。主人公は、父50歳頃、母は40歳頃の高齢
出産で生まれた。家庭は貧しいナスビ生産農家で、優し
い両親に育てられるが、10歳の時、母が急に鬼になる。
団地まで車に乗せられていき、一袋100円のナスビを売っ
てくるように言われる。最初はなかなか売れなかったが、
鬼のように母に怒られるうちに、段々売れるようになる。
その頃、母は病に倒れ、入退院を繰り返して亡くなる。
その原因は、白血病だった。
母の死後、父は「おまえがナスビをうっているとき ア
イツはいつもクルマのなかでないとったんぞ」と教えてく
れる。母親は、まもなく死ぬことがわかっていて、心
を鬼にして、息子に「生きる方法」を教えていたのだ。
心を鬼にして、たくましい子を育てる。これは、昔では
よく行われていたかもしれないが、今ではどうだろう。
下手をすれば虐待と受け止められかねないことかもしれない。
昔も今も、ひたすら、子どもの幸せを願って、親は、子育て
をしていると思われるが、時代の変化で、子育てを眼に見え
るもので判断して、内面にある真実を見ようとしないが今日
の子どもの育て方ではなかろうか。
この絵本には、子どもの何年も先の姿を描いて、「厳し
そうで、温かい」心で、愛情に満ちた子育てをする基本が描
かれている。まさに「やさしさごっこ」による、表面的に結
びついている親子が、今一度子育ての原点を見つめ直すとき
ではないだろうか。
とはいっても、一面的な子育てに陥ってはならない。子育て
には愛に裏打ちされた総合性が求められる。親の身勝手で
歪めたしつけという名の暴力は、決して許されるものではない。
年々、虐待数は増え、残虐な事例も多くなってきていて、
看過できない状況になっている。
てほしい』という虐待の絵本を紹介した。
今回は、もう一冊、虐待の絵本で、グロー・ダーレ作、
スヴァイン・ニーフース(大島香織・青木順子)『パパ
と怒り鬼ーはなしてごらん、誰かに―」を紹介しておく。
この絵本は、ノルウエーの話で、2011年に出版された
ものだ。3人家族の話で、父親の虐待から、いかにして
母子を救うかといった話で、「加害者が変わることが、
最大の被害者支援になる」と、結論づけている。なかでも、
虐待から解放されるためには、誰かに話すことが大切であ
ると強調している。
話は、結構長いが、この本と向かい合っているうちに、虐
待への向かい合い方が見えてくるように思える。同時に、
虐待の根の深さもわかってくる。
虐待の問題は、特効薬はないので、気長で持続的に取り組
んでいかなければならない気の長い課題だ。
あまりにも暑すぎる時期に、しっかり汗をかきながら安心と
平和を願って、過去の経験から正しい道を導き出す努力を
しなければならない。
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Commented
at 2016-08-10 15:55
x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented
by
ehondamari at 2016-08-10 17:11
toukoさん
夏休みになっても大変ですね。お疲れ様です。
あの本を知っていたとは、さすがですね。
それだけでもうれしいですよ。
私の思いと同じように考えておられるようで、
これまたうれしく思います。
特別支援学級への絵本の出前、日程さえ合えば喜んでいきます。その旨担当の先生にお伝えください。
特別支援学級への絵本の出前、日程さえ合えば喜んでいきます。その旨せんせいにお伝えください。
夏休みになっても大変ですね。お疲れ様です。
あの本を知っていたとは、さすがですね。
それだけでもうれしいですよ。
私の思いと同じように考えておられるようで、
これまたうれしく思います。
特別支援学級への絵本の出前、日程さえ合えば喜んでいきます。その旨担当の先生にお伝えください。
特別支援学級への絵本の出前、日程さえ合えば喜んでいきます。その旨せんせいにお伝えください。
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at 2016-08-11 10:34
x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented
by
ehondamari at 2016-08-11 10:53
toukoさん
楽しみにしています。
楽しみにしています。
by ehondamari
| 2016-08-09 20:04
| 絵本と子育て・保育
|
Comments(4)