人気ブログランキング | 話題のタグを見る

酷暑に過去を思い起こす

暑い夏に思うこと

酷暑に過去を思い起こす_d0340845_23231449.jpg
                        我が家の白色のワレモコウ

今日は、長崎に原爆が投下された日だ。
長崎は、母の故郷でもあり、特別の思いが蘇える。
この時期、オリンピック、甲子園高校野球、お盆休み
の道路渋滞等、いろいろなことが混ざり合っててんてこ
舞いだが、広島と長崎に原爆が投下された日と終戦記
念日の8月15日だけは、忘れてはならない、重い日だ。

お盆を前に、店先には盆迎えの品々や、食料品が沢山
並べられている。野菜も、この時期にきて豊富で、一時
期の品不足も解消されてきたようだ。さまざまな野菜の
中に、紫色のナスビがたくさん並んでいる。戦後の食糧
難の時には、毎日のようにナスビを食べたものだ。
幼くて、ひもじい思いをしたその頃のことは、今でもよ
く憶えている。
その頃の思い出と重なる、他人事とは思えない1冊の
絵本がある。
原田剛文、筒井則行絵『小学生のボクは、鬼のようなお母
さんにナスビをうらされました』がそれだ。普通には、
タイトルからして、長くて、インパクトが強く、手が出し
づらいかもしれない。表紙の絵を見れば、リアルですごみ
がありすぎて、ますます、買う気にはなれないだろう。
なのに、偏屈な私には、とても興味深く、表紙を見ただけで、
購入してしまった。さらに中を見て、自分の過去が再現されて、
目の前に突きつけられたような気がした。

酷暑に過去を思い起こす_d0340845_16353319.jpg
この絵本は実話に基づいて作られている。作者は、私より
30歳ほど若いので、私の経験よりも30年後の話と言う
ことになる。主人公は、父50歳頃、母は40歳頃の高齢
出産で生まれた。家庭は貧しいナスビ生産農家で、優し
い両親に育てられるが、10歳の時、母が急に鬼になる。
団地まで車に乗せられていき、一袋100円のナスビを売っ
てくるように言われる。最初はなかなか売れなかったが、
鬼のように母に怒られるうちに、段々売れるようになる。
その頃、母は病に倒れ、入退院を繰り返して亡くなる。
その原因は、白血病だった。
母の死後、父は「おまえがナスビをうっているとき ア
イツはいつもクルマのなかでないとったんぞ」と教えてく
れる。母親は、まもなく死ぬことがわかっていて、心
を鬼にして、息子に「生きる方法」を教えていたのだ。
心を鬼にして、たくましい子を育てる。これは、昔では
よく行われていたかもしれないが、今ではどうだろう。
下手をすれば虐待と受け止められかねないことかもしれない。
昔も今も、ひたすら、子どもの幸せを願って、親は、子育て
をしていると思われるが、時代の変化で、子育てを眼に見え
るもので判断して、内面にある真実を見ようとしないが今日
の子どもの育て方ではなかろうか。
この絵本には、子どもの何年も先の姿を描いて、「厳し
そうで、温かい」心で、愛情に満ちた子育てをする基本が描
かれている。まさに「やさしさごっこ」による、表面的に結
びついている親子が、今一度子育ての原点を見つめ直すとき
ではないだろうか。
とはいっても、一面的な子育てに陥ってはならない。子育て
には愛に裏打ちされた総合性が求められる。親の身勝手で
歪めたしつけという名の暴力は、決して許されるものではない。
年々、虐待数は増え、残虐な事例も多くなってきていて、
看過できない状況になっている。

酷暑に過去を思い起こす_d0340845_16354378.jpg
3月1日に本ブログで、MOMO文、YUKO絵『わかっ
てほしい』
という虐待の絵本を紹介した。
今回は、もう一冊、虐待の絵本で、グロー・ダーレ作、
スヴァイン・ニーフース(大島香織・青木順子)『パパ
と怒り鬼ーはなしてごらん、誰かに―」
を紹介しておく。
この絵本は、ノルウエーの話で、2011年に出版された
ものだ。3人家族の話で、父親の虐待から、いかにして
母子を救うかといった話で、「加害者が変わることが、
最大の被害者支援になる」と、結論づけている。なかでも、
虐待から解放されるためには、誰かに話すことが大切であ
ると強調している。
話は、結構長いが、この本と向かい合っているうちに、虐
待への向かい合い方が見えてくるように思える。同時に、
虐待の根の深さもわかってくる。
虐待の問題は、特効薬はないので、気長で持続的に取り組
んでいかなければならない気の長い課題だ。
あまりにも暑すぎる時期に、しっかり汗をかきながら安心と
平和を願って、過去の経験から正しい道を導き出す努力を
しなければならない。









==================================================================


Commented at 2016-08-10 15:55 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by ehondamari at 2016-08-10 17:11
toukoさん
夏休みになっても大変ですね。お疲れ様です。
あの本を知っていたとは、さすがですね。
それだけでもうれしいですよ。
私の思いと同じように考えておられるようで、
これまたうれしく思います。
特別支援学級への絵本の出前、日程さえ合えば喜んでいきます。その旨担当の先生にお伝えください。


特別支援学級への絵本の出前、日程さえ合えば喜んでいきます。その旨せんせいにお伝えください。
Commented at 2016-08-11 10:34 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by ehondamari at 2016-08-11 10:53
toukoさん
楽しみにしています。
名前
URL
削除用パスワード
by ehondamari | 2016-08-09 20:04 | 絵本と子育て・保育 | Comments(4)

絵本で潤いのある生活を楽しむ


by ehondamari