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春の芽吹き



雪から花への伝言

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            胡蝶の舞(牡丹)
 
2月が終わろうとしている。
春1番、春2番、春3番と毎日のように強風が全国を
吹き荒れて、落ち着きのない天候が続く。
これが、寒い寒い冬から暖かい春へ変わろうとするとき
のもがきあいというものであろうか。

雪の中で冬眠する動物たちが、何かの匂いに誘われて、
目覚めて、匂いに向かって走りはじめる。たどり着いた
所には、黄色い花が一輪咲いている。「ゆきのなかに
おはながひとつ さいてるぞ!」とみんな「うわあい!」
と叫び出す。昔から愛された、ルース・クラウス文、マー
ク・サイモント絵(きじまはじめ)『はなをくんくん』

話だ。モノクロ絵本の最後に黄色い花が一輪、なんとも
にくい演出だ。これが1949年にアメリカで出版され、
わが国では、1967年に出版された。私が8歳の時だ。
その後、初めてこの絵本に出会ったのは30歳前後だった
ように思う。

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冬は厳しい寒さに耐えて、明るい春を待つ準備をしている。
その準備期間をしっかりと生きたものだけが、喜びの春を
迎えられる。その弾むような気持を絵本にした作品は多い。

冬に、春を待ち望む自然の姿を形にして表現してくれたのが、
長新太文、冨成忠夫・茂木透写真『ふゆめがっしょうだん』
だ。

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よくぞこんなにも素晴らしい絵本を作ってくれたものだと、
思わず、手を合わせてしまう。ひたすら感謝だ。
冬芽はこんな形していたのだと、見とれてしまう。どれもが、
円空仏のように、生き生きとにこやかで、今にも飛び出して
きそうだ。それに添えられた言葉も素晴らしい。
「みんなは みんなは きのめだよ、はるになれば はが
でて はながさく パッパッパッパッ ゆきよ こおりよ
さようなら はやく はるが こないかな パッパッパッ
パッ・・・・・・」
写真を見ながら詩を読めば、春が、花がそこにあるように錯覚
する。

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             『ふゆめがっしょうだん』より
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           『ふゆめがっしょうだん』より

表紙だけを見ると、『ふゆめ・・・』の続編かと間違えそうだが、
じつは、全く違う作品で、小寺卓矢写真・絵『だって 春だもん』
がある。

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表紙のタイトルを見ると、ほんわかと軽やかな絵本を
想像してしまうが。中を見て、びっくり。じつに美しい
写真の連続だ。雪深い森に、少しずつ春が訪れる光景は、
心が鎮もり、やがて浮き立ってくるといった、不思議な
心の揺さぶりを感じる。特に、ミズバショウが、一斉に
小さな花を咲かせはじめる場面は、うっとりさせられる。
花だけでなく、森が冬から春の姿に衣替えをする過程は、
やっぱり、「だって春だもん!」と言いたくなる。
小寺卓矢さんの自然と向かい合う真摯な姿は、写真にも
よく表れていて、写真を前にすると嘘がつけなくなって
しまう。
小寺卓矢文・写真『森のいのち』もぜひ見ておきた
い絵本だ。

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昨22日、京都府立植物園へ、春の芽生えを探しに訪れた。
痛い膝を引きずりながらの写真撮影は、どうしても目線が
高くなって、思うようには撮影できない。そんな中、いく
つかの春の使者たちに出会えた。
曇り空の寒い生態園では、人影はまばらで、楚々と咲く
ひかえめの花々と会話をするには、うってつけのシチュ
エーションだった。植物園では、冬から春へのバトンタッ
チは、すでにはじまっていた。

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            バイカオウレン
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             セツブンソウ
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              フクジュソウ
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                  雪割草
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              シナマンサク
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              ルリビタキ
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              シジュウカラ





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Commented by natureflow at 2017-02-23 19:25
セツブンソウ咲いていますね。
梅花黄連は買ってしばらく
鉢できれいに咲いていましたが
今は2輪のみです。
Commented by ehondamari at 2017-02-23 20:01
natureblowさん
セツブンソウはお宅の方がきれいで、華やかに見えます。
植物園は、少し花が少ないように思います。維持することはどこでも難しいですね。オウレンも少なく、バイカオウレンはまずまずでしたね。マキノソナタのカタクリが咲くところでは、オウレンの群生が見られます。
Commented by なごやのこあら at 2017-02-23 22:37 x
「花をくんくん」、なが〜く強く深い絵本のパワーを感じます。
明日は、花ちゃんと京都の冬の特別拝観に行きます🚄京都駅の近くの、出し巻き卵の美味しいお店を教えてください。(以前、どこかで紹介してみえたお店です)
Commented by ehondamari at 2017-02-23 22:48
なごやのこあらさん
『はなをくんくん』はいい絵本ですね。
明日は、京都ですか?京都の店では、どこでもだし巻き卵で、おいしいですよ。私は、飲むときにしか食べないので、夜しかわかりません。前回紹介したのは、蔵倉という店です。夜5時営業です。昼間は、どこかで和風の店に入って聞いてください。
Commented by masae at 2017-02-24 23:48 x
ほんとうに、日毎に春の日差しを感じるようになってきましたね。まだ、2月ですが…。

膝はなかなか、治りませんね。お大事になさってくださいませ。
Commented by ehondamari at 2017-02-25 08:39
masaeさん

ご心配ありがとうございます。
昨日はまだ雪がちらついていましたが、間違いなく気温は上がり、陽気もよくなってきています。
今朝のお膝さんはご機嫌がいいようです。
その日によって随分調子が変わりやすいわがままお膝です。
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by ehondamari | 2017-02-23 19:14 | 絵本と子育て・保育 | Comments(6)

絵本で潤いのある生活を楽しむ


by ehondamari