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絵本作家:町田尚子

怪しげで、怖くて、美しい

今年のお盆も昨年に負けず炎暑だ。
12日までに、京都の東本願寺と愛知県のお墓参りを
済ませた。身の回りもしっかり清めたので、
これで、我が家へは、幽霊はやってこないだろう

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         盆迎えの我が家の庭のタマアジサイ

昨13日、京都左京区のNOWAKI(075・285・
1595)へ、待望の町田尚子『ネコヅメのよる』原画展
を観に行ってきた。暑い中汗をかいて行ってみてよかった。
の一言しかない。

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             町田尚子作・絵『ネコヅメのよる』

絵本で見るのと同じ絵が、大きくなって
壁に飾ってあるだけだが、迫力と、リアル感に息をのむ。
写真ではないが、カメラアングルが実にうまい。アップ
あり、ロングあり、下から、斜めからと多彩なアングルを
持っておられる。シャッターチャンスのタイミングがいい。
私もネコ好きで、21年間も同じ猫とつき合ったが、ネコ
好きでないとわからないネコの美しさや、表情がある。
それを、町田さんは見事にとらえている。ネコの写真家で
有名な岩合光昭さんとは、また違った魅力を絵で表現して
いる。たくさんの絵が飾ってあるわけではないが、大絵画
展を見た後のような、充実感と満足感に浸ることができた。

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              町田尚子作・絵『ネコヅメのよる』

いま、巷ではネコブームと言われ、書店にも、夏休みの
課題図書のネコ絵本と一緒にネコ関連の絵本が多く並べら
れているが、残念ながら町田さんのネコに勝るものはない。
ネコに惚れているレベルが違うと言ったらいいかもしれない。
町田さんにお願いがしたい。ぜひネコ屋敷というか、ネコの
棲家を作って、町田さんのネコの絵で埋め尽くしてほしい。

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           町田尚子作・絵『ネコヅメのよる』

『ネコヅメのよるは妖怪でもお化けの絵本でもない。
怖い絵本ではないので、怖いのが苦手な人でも、安心して
見られる、濃い味のする絵本だ。
ネコは、死んでも化けて出るというが、町田さんの絵本は、
先回紹介したおばけにょうぼう』
のような妖艶・妖怪で、
身も震えるような恐ろしい妖怪絵本などが何冊かある。
町田さんには、お会いしたことはないが猫の化身の妖女の
ような方なんだろうか。

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         内田鱗太郎文、町田尚子絵『おばけにょうぼう』

今回、原画を魅せていただいた記念に、町田さんの『あずき
とぎ』
を、買い求めた。

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この絵本は、以前に出版された『いるのいないの』に、
主人公が似ていて、内容も不気味さを予感させる表紙だ。
現実に見えないものを、予感させたり、幻想を抱かせた
りと、不気味さ満点で、少しは涼しくなる。涼しさよりも

寒さに凍えるのは『いるのいないの』の方
が、数倍まさっ
ている。怪談絵本の傑作中の傑作といっても、過言では
ない。見えることよりも、見えそうなものを、想像する
ことの方が数段怖い。

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ここにも、ネコが出てきて、何かありそうな演出をして
いる。怖いというのは、見えないから怖いと想うのだろ
う。何か怖いことが、あちこちにちりばめておくことで、
怖さを増殖していくのだろう。
ここ数年前から、妖怪、怪談、お化け、幽霊といった
怖いテーマの絵本が多くなってきている。子どもたちも、
これらをテーマにした絵本を読みたがる傾向にある。
本当に怖さを知らないから、怖いものを見たがるのだろう。
怖さを知っているものは、怖いものには近づかないから。
怖いとは、どのようなものを指すのだろう。案外、身近に
潜んでいて、爪をといでいるのではないだろうか。
本当の怖いものに出会ってからでは、手遅れだから、早めに、
お墓の掃除をきちんとして、その前でしっかり手を合わせ
置かないと、今夜あたり、ウラメシヤ~、腹が減ったとか
言って、変な奴がたかりに来るかもしれない

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         上2画面 京極夏彦作、町田尚子絵『いるのいないの』








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Commented by Harumi at 2016-08-29 20:26 x
子供たちに「怖い本読んで」とよくリクエストされていましたが、『いるのいないの』だけは読むことができませんでした。
私にもこれは怖すぎます、、、
Commented by ehondamari at 2016-08-30 07:47
harumiさん
どこへ行っても、子どもたちは怖い絵本を求めますね。町田さんの絵本はなかなか迫力があります。『いるの いないの』は、夏にぴったりの本のように思えます。いると思えばいるし、いないとお思えばいないというのが、怖いものの正体ですね。幼児には、できるだけ優しい怖さを提供しています。なんといっても、私自身の存在が怖いのですから、絵本まで怖くなるとちょっとまずいと思いまして。
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by ehondamari | 2016-08-14 16:16 | 絵本と子育て・保育 | Comments(2)

絵本で潤いのある生活を楽しむ


by ehondamari