絵本作家:町田尚子
2016年 08月 14日
怪しげで、怖くて、美しい
今年のお盆も昨年に負けず炎暑だ。
12日までに、京都の東本願寺と愛知県のお墓参りを
済ませた。身の回りもしっかり清めたので、
これで、我が家へは、幽霊はやってこないだろう。
盆迎えの我が家の庭のタマアジサイ
昨13日、京都左京区のNOWAKI(075・285・
1595)へ、待望の町田尚子『ネコヅメのよる』原画展
を観に行ってきた。暑い中汗をかいて行ってみてよかった。
の一言しかない。
町田尚子作・絵『ネコヅメのよる』
絵本で見るのと同じ絵が、大きくなって
壁に飾ってあるだけだが、迫力と、リアル感に息をのむ。
写真ではないが、カメラアングルが実にうまい。アップ
あり、ロングあり、下から、斜めからと多彩なアングルを
持っておられる。シャッターチャンスのタイミングがいい。
私もネコ好きで、21年間も同じ猫とつき合ったが、ネコ
好きでないとわからないネコの美しさや、表情がある。
それを、町田さんは見事にとらえている。ネコの写真家で
有名な岩合光昭さんとは、また違った魅力を絵で表現して
いる。たくさんの絵が飾ってあるわけではないが、大絵画
展を見た後のような、充実感と満足感に浸ることができた。
町田尚子作・絵『ネコヅメのよる』
いま、巷ではネコブームと言われ、書店にも、夏休みの
課題図書のネコ絵本と一緒にネコ関連の絵本が多く並べら
れているが、残念ながら町田さんのネコに勝るものはない。
ネコに惚れているレベルが違うと言ったらいいかもしれない。
町田さんにお願いがしたい。ぜひネコ屋敷というか、ネコの
棲家を作って、町田さんのネコの絵で埋め尽くしてほしい。
町田尚子作・絵『ネコヅメのよる』
『ネコヅメのよる』は妖怪でもお化けの絵本でもない。
怖い絵本ではないので、怖いのが苦手な人でも、安心して
見られる、濃い味のする絵本だ。
ネコは、死んでも化けて出るというが、町田さんの絵本は、
先回紹介した『おばけにょうぼう』のような妖艶・妖怪で、
身も震えるような恐ろしい妖怪絵本などが何冊かある。
町田さんには、お会いしたことはないが猫の化身の妖女の
ような方なんだろうか。
内田鱗太郎文、町田尚子絵『おばけにょうぼう』
今回、原画を魅せていただいた記念に、町田さんの『あずき
とぎ』を、買い求めた。
この絵本は、以前に出版された『いるのいないの』に、
主人公が似ていて、内容も不気味さを予感させる表紙だ。
現実に見えないものを、予感させたり、幻想を抱かせた
りと、不気味さ満点で、少しは涼しくなる。涼しさよりも、
寒さに凍えるのは『いるのいないの』の方が、数倍まさっ
ている。怪談絵本の傑作中の傑作といっても、過言では
ない。見えることよりも、見えそうなものを、想像する
ことの方が数段怖い。
ここにも、ネコが出てきて、何かありそうな演出をして
いる。怖いというのは、見えないから怖いと想うのだろ
う。何か怖いことが、あちこちにちりばめておくことで、
怖さを増殖していくのだろう。
ここ数年前から、妖怪、怪談、お化け、幽霊といった
怖いテーマの絵本が多くなってきている。子どもたちも、
これらをテーマにした絵本を読みたがる傾向にある。
本当に怖さを知らないから、怖いものを見たがるのだろう。
怖さを知っているものは、怖いものには近づかないから。
怖いとは、どのようなものを指すのだろう。案外、身近に
潜んでいて、爪をといでいるのではないだろうか。
本当の怖いものに出会ってからでは、手遅れだから、早めに、
お墓の掃除をきちんとして、その前でしっかり手を合わせ
置かないと、今夜あたり、ウラメシヤ~、腹が減ったとか
言って、変な奴がたかりに来るかもしれない
上2画面 京極夏彦作、町田尚子絵『いるのいないの』
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今年のお盆も昨年に負けず炎暑だ。
12日までに、京都の東本願寺と愛知県のお墓参りを
済ませた。身の回りもしっかり清めたので、
これで、我が家へは、幽霊はやってこないだろう。
昨13日、京都左京区のNOWAKI(075・285・
1595)へ、待望の町田尚子『ネコヅメのよる』原画展
を観に行ってきた。暑い中汗をかいて行ってみてよかった。
の一言しかない。
絵本で見るのと同じ絵が、大きくなって
壁に飾ってあるだけだが、迫力と、リアル感に息をのむ。
写真ではないが、カメラアングルが実にうまい。アップ
あり、ロングあり、下から、斜めからと多彩なアングルを
持っておられる。シャッターチャンスのタイミングがいい。
私もネコ好きで、21年間も同じ猫とつき合ったが、ネコ
好きでないとわからないネコの美しさや、表情がある。
それを、町田さんは見事にとらえている。ネコの写真家で
有名な岩合光昭さんとは、また違った魅力を絵で表現して
いる。たくさんの絵が飾ってあるわけではないが、大絵画
展を見た後のような、充実感と満足感に浸ることができた。
いま、巷ではネコブームと言われ、書店にも、夏休みの
課題図書のネコ絵本と一緒にネコ関連の絵本が多く並べら
れているが、残念ながら町田さんのネコに勝るものはない。
ネコに惚れているレベルが違うと言ったらいいかもしれない。
町田さんにお願いがしたい。ぜひネコ屋敷というか、ネコの
棲家を作って、町田さんのネコの絵で埋め尽くしてほしい。
『ネコヅメのよる』は妖怪でもお化けの絵本でもない。
怖い絵本ではないので、怖いのが苦手な人でも、安心して
見られる、濃い味のする絵本だ。
ネコは、死んでも化けて出るというが、町田さんの絵本は、
先回紹介した『おばけにょうぼう』のような妖艶・妖怪で、
身も震えるような恐ろしい妖怪絵本などが何冊かある。
町田さんには、お会いしたことはないが猫の化身の妖女の
ような方なんだろうか。
今回、原画を魅せていただいた記念に、町田さんの『あずき
とぎ』を、買い求めた。
主人公が似ていて、内容も不気味さを予感させる表紙だ。
現実に見えないものを、予感させたり、幻想を抱かせた
りと、不気味さ満点で、少しは涼しくなる。涼しさよりも、
寒さに凍えるのは『いるのいないの』の方が、数倍まさっ
ている。怪談絵本の傑作中の傑作といっても、過言では
ない。見えることよりも、見えそうなものを、想像する
ことの方が数段怖い。
いる。怖いというのは、見えないから怖いと想うのだろ
う。何か怖いことが、あちこちにちりばめておくことで、
怖さを増殖していくのだろう。
ここ数年前から、妖怪、怪談、お化け、幽霊といった
怖いテーマの絵本が多くなってきている。子どもたちも、
これらをテーマにした絵本を読みたがる傾向にある。
本当に怖さを知らないから、怖いものを見たがるのだろう。
怖さを知っているものは、怖いものには近づかないから。
怖いとは、どのようなものを指すのだろう。案外、身近に
潜んでいて、爪をといでいるのではないだろうか。
本当の怖いものに出会ってからでは、手遅れだから、早めに、
お墓の掃除をきちんとして、その前でしっかり手を合わせ
置かないと、今夜あたり、ウラメシヤ~、腹が減ったとか
言って、変な奴がたかりに来るかもしれない
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Commented
by
Harumi
at 2016-08-29 20:26
x
子供たちに「怖い本読んで」とよくリクエストされていましたが、『いるのいないの』だけは読むことができませんでした。
私にもこれは怖すぎます、、、
私にもこれは怖すぎます、、、
0
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by
ehondamari at 2016-08-30 07:47
harumiさん
どこへ行っても、子どもたちは怖い絵本を求めますね。町田さんの絵本はなかなか迫力があります。『いるの いないの』は、夏にぴったりの本のように思えます。いると思えばいるし、いないとお思えばいないというのが、怖いものの正体ですね。幼児には、できるだけ優しい怖さを提供しています。なんといっても、私自身の存在が怖いのですから、絵本まで怖くなるとちょっとまずいと思いまして。
どこへ行っても、子どもたちは怖い絵本を求めますね。町田さんの絵本はなかなか迫力があります。『いるの いないの』は、夏にぴったりの本のように思えます。いると思えばいるし、いないとお思えばいないというのが、怖いものの正体ですね。幼児には、できるだけ優しい怖さを提供しています。なんといっても、私自身の存在が怖いのですから、絵本まで怖くなるとちょっとまずいと思いまして。
by ehondamari
| 2016-08-14 16:16
| 絵本と子育て・保育
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Comments(2)