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線で描く絵本


線から線へ、そしてまた線へ

線路は続くよどこまで、という歌がある。どこまで続いている
のだろう。
電信柱の電線はどこまで続いているのだろう。
アリの列つながった線はどこへ向かっているのだろう。
血液も線でつながって流れている。つながっているも
のはたくさんある。つながっていることに無意味はなく、
何らかの意味のもとにつながっている。
線がどんどん延びて、一つの線で世界中に広がり結び合
えば、平和な世界になるだろう。そんな一本の線で世界を
繋いでみたい。


絵本にも、一本の線をつなげて描いたものがいくつかある。
どれを見ていても、飽きることもなく、何時間見てしまう。
私の持っている絵本の中にも、何冊かある。なかでも、一番
楽しんでいるのが、谷川俊太郎文、しりあがり寿絵『おそば
おばけ』
だ。



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よくぞ、こんなバカげたことを考えてくれたものだと、思わず
感謝してしまう。「ぼくはおそばとあそぶのがすき ぼくが
よぶとあなからでてくる」。そばはいつも元気で、穴から
出てきて飛び回る。その穴に引きずり込まれると、お化けが
出てくる。そばのお化けを食べないと、こちらが食べられるの
で、つるつると食べてしまって、「ごちそうさま」で終わる。
すごい量を食べて、ご馳走さまでは済まないだろうに。
お化けをはじめとした話の中の絵は、全て、はじめから最後ま
で、1本の線で描かれている。馬鹿げているといえば馬鹿げて
いるが、馬鹿げているから面白いのだろう。これを子ども心と
いうのかもしれない。

ローラ・ユンクヴィストさんは線描き絵本の達人だ。線だけ
だから、単純で、線を追っかけるだけだろうと思いがちだが、
彼女の絵本は、美しくて、ハイセンスで、発想が豊かだ。
線のつなぎ方の工夫が見事で、飽きさせない。線がつながる
絵と同時に、線画の周りの状況や、風景が線画ではないが、見
事に、絵の効果を引き出していて、見る側をドキドキさせてく
れる。ローラ・ユンクヴィスト作(ふしみみさを)『せんをた
どって』
は、線をたどっていくと。次々といろいろなものが登
場してきて、一日の流れの中で、一杯体験ができる。意外と
1日でいろいろなことが経験できているのだと感心させられる。
たった一日がこんなにも楽しく考えられるものだなと驚かされる。

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ローラさんのシリーズの1冊と言ってもいい『せんをたどっ
てがっこうへいこう』
では、線をたどって学校へ行き、一日
中学校で、様々な体験をすることになる。学校ってこんなに
も楽しいことがいっぱいあるところなんだと、わくわくし
てしまう。



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この2冊以外にも『せんをたどってせかいいっしゅう』や『
せんをたどっていえのなかへ』等もある。
線のマジックを見ているようで、ワクワクドキドキしながら、
いつかは真似をして自分でも、こんな絵本を作ってみたいなと
思わされる魅力と魔力を持っている。

中村牧江文、林建造絵『どうぶつ どのみち いっぽんみち』
色画紙に白い線で絵を描いていて、これまでのものとは少し違う。
一本道の線をたどればいいかというとそうではない。線で複雑な
絵が描かれているので、線を見るというよりも線で描かれた絵を
見るといった方がいい。むしろ、線で描かれた絵本を見るというよ
りも、完全い線を忘れて、絵を見るといった感じだ。各ページごと
に色が違うので、彩色されたカラフルな絵を見ているような錯覚に
陥る。

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線の絵本のように、絵本の種類はあまりにも多すぎて、
それらの楽しさをどれだけ、書いても書いてもきりがない。
きりがないから、また違ったものを探したくなってしまい、
珍しいものを探し出すと、うれしくなってしまってまた書
きたくなる。これは終わりのない旅だ。終わったつもりでも、
またすぐはじまる。エンドレスの旅は、いつ終わるのだろう。
まもなく2年が終わり、3年目がはじまる。



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Commented by こあら at 2017-08-30 23:19 x
おそばおばけ、すご〜い楽しい!おばけがだいすきな子どもたちが、大喜びしますよね〜
2歳児たちは、「おばけがぞろぞろ」が、だ〜い好きで、何回も、何回も読みました。
線をたどって、たどってワクワクですね。
Commented by ehondamari at 2017-08-31 08:15
こあらさん

少し秋めいてきました。大型の台風も近づいていますが、何もなければいいのですが。
『おそばおばけ』おいしそうにもないそばですが、食べないと食べられてしまうので、それなりの葛藤ですね。線だけで絵を描くというのも子どもにとっては、遊びの一つとしては面白いのではないかと思います。どんどんどんどん想像が発展して、線をつなぐ工夫も含めて、保育の中に導入すればそれなりにユニークなものが出てくるでしょうね。
それにしても、何事も繋ぐことは大切です。結びつきは宝です。
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by ehondamari | 2017-08-25 23:10 | 絵本と子育て・保育 | Comments(2)

絵本で潤いのある生活を楽しむ


by ehondamari