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1人で、平気さ

自立して、好奇心の旅

21号台風一過。秋空が広がり、風が秋のにおいをもたら
した。
久し振りの強くて大きい台風に雨戸が悲鳴を上げていた。
おかげで、木々は水分補給ができて、輝きを戻してきた。
保育園や幼稚園でも、夏を経て、子どもの元気な声がひと
際大きくなっていることだろう。夏の経験は、子どもに自
信を与えるようだ。
幼い子どもが、自分の成長に自信をつけ、自分一人で冒険
をしたくなってくるころでもある。それはこんなことかな
と思われる3冊の絵本を選んでみた。
最初の1冊は、マーガレット・ワイズ・ブラウン/坪井郁美文、
林明子絵『ぼくはあるいた まっすぐまっすぐ』ペンギン社
で、
日本とアメリカの著名な作家2人の共作だ。

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一人で留守番をしていたら、おばあちゃんから電話がか
かってきた。どうやら一人でおばあちゃんの家においで
という電話のようだ。一人で行ったことがないようだ。
「おうちの まえの みちを まっすぐ いって いな
かみちを まっすぐ まっすぐ」と教えられる。田舎道
って怖くないのかな。どれがおばあちゃんのお家かもわか
らない。とりあえず出かけることにする。3歳ぐらいの子
どもと思われるが、年齢不詳だ。
とにかくまっすぐまっすぐ歩いていく。田舎道もまっすぐ
行くと、1本の花が咲いていて、いいにおいがするのでおば
あちゃんのお土産にする。

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花に気を取られて、どうやらこのあたりから、田舎道を間違
えたのではないかと思われる。道のない山の方へ入っていく。
出合うものが全て怖く思われる。蝶々の群れを見ても驚く。野
イチゴもおばあちゃんのお土産にする。まっすぐ行くと川だ、靴を
脱いで渡る。とにかくまっすぐ進む。高い山も登って超えてい
く。まっすぐ行くと、大きな家にぶつかった。おばあちゃんの
家かと思ったのだが、なんとそこは馬小屋だった。

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おばあちゃんの家かと思ったら犬小屋だったり、蜂の巣箱
だったりで、災難続きの末、やっとおばあちゃんの家に辿
り着く。

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おばあちゃんのお家はやっぱりまっすぐだったと、安心
してホッとする。ほんとにまっすぐだったのかな?

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子どもに正確に言葉を伝えるのは難しい。その難しさを
克服しながら、より確かな知識を身につけて行くのだろ
う。まっすぐのつもりが、本当は、興味のあるものに、
気を取られて、間違えてまっすぐ進んだつもりになるこ
ともある。これが子どもの子どもたるゆえんだったのだ
ろう。今回の場合は、おばあちゃんの教え方に問題があ
ったかもしれない。
過日、どこかの島で、迷子になって3日目に発見された
子どものことを思い出す。子どもは高い所へ上るという
あの有名になったボランティアの発見者の言葉が思い出
される。

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第2作目は、自然と動物を書いたら右に出る者はいない?
いわむらかずお作『ふうとはなとうし』童心社だ。

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私の言いたいことは、全て本の帯に書かれている。「のに生
きる子うさぎ『ふう」と『はな』の毎日は、驚きと発見に満
ちた冒険の日々です。自然からたくさんのことを感じ取り、
いのちの仕組みを学んで行きます」とある。
ここに書かれた内容は具体的にはどのようなことだったのか。
ふうとはなが遊びに行くというので、お母さんは「誰か来たら
草の影でじっとしているのよ」とアドバイスする。

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野に飛び出して、うれしくてたまらない二人は、自然をか
らだ全体で楽しむ。

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そこへ誰かが近づく気配を感じ、じっと身をひそめる。
「こわがらなくてもいいよ、おばさんは、のうじょうで 
くらすうしだよ」と言われてホッとする。

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うしは、いろいろ話してくれる。もうじき赤ちゃんが生ま
れることも教えてくれる。

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二人は、うしのお腹に包まれて昼寝をして、家に帰る。
待っててくれたお母さんに、牛との話をしたりしなが
ら、おかあさんのおっぱいを一杯飲んで、ぐっすり眠
るのだった。

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全ページに、草花がぎっしり描かれていて、それを見る
だけで幸せになってしまう。岩村さんは、自然に忠実だ
なと思われるのは、自然を描くのに嘘がないところだと
思う。自然の中に棲み、自然と共生してるということは、
やはり素晴らしいことだ。

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最後の3作目もいわむらかずお作の『とっくん トラック
うみへ ぶぶ―』ひさかたチャイルド
だ。

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この絵本はのびやかで、おおらかで、読み終わると、郷愁と
清新な風がふき抜けていくような気がする。心の中のどこか
に、こんな故郷が眠っていたのかもしれない。
この本は、まさに子どもの夢物語と言えばいいだろうか。2歳
ほどの子どもが、木のトラックを引っ張って歩いていくと、次
々海の生き物たちが、トラックに乗ってくる。

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最後には、クジラまでがやって来て、トラックに乗せてと
言いはじめる。とても無理だよと断る。それじゃぼくの背中
に乗ってと言ってくれて、みんなでクジラの背中に乗る。ト
ラックもクジラの背中に乗ってぶぶーと海を進むのだ。

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想像を超えた世界で、小さな子どもと一緒に遊んでいると、
からだが軽くなって、一緒に想像の宇宙を飛んでいるような
気持になる。ダイナミックな海とその大波、タコさんまでも
登場。食べたくなる。そこへクジラまでも現れる。こんなこ
とありえない。いわむらさんらしい世界だからか、夢中にな
って入り込んでしまう。

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Commented by midorigame at 2018-09-09 18:21 x
「ぼくはあるいたまっすぐまっすぐ」は、子供の心が素直でまっすぐだというそのものが表れていますよね。見習いたい部分です。
「ふうとはなとうしと」のいわむらさんの絵も優しくて、子供の好奇心をうまく冒険心に変え、2匹のうさぎがとてもいい経験ができて心が優しくなれる感じがします。
Commented by ehondamari at 2018-09-09 20:09
midorigameさん  

子どもはかわいくていいですね。でも、未だに子どもを理解するのは難しく思います。
子どもを絵本にするためには、やはり子どものことをよく知らないと、子どもにぴったりしたものはできませんね。
岩村さんの絵本は、自然との共生がみごとに表現されていて
感心させられます。
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by ehondamari | 2018-09-05 12:04 | 絵本と子育て・保育 | Comments(2)

絵本で潤いのある生活を楽しむ


by ehondamari