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子どものパパ像


パパはかっこいい?



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本屋さんの絵本売り場に立った途端、目に入ったのが、
スーシー作(高橋久美子)『パパといっしょ」トゥ―
ジンズ
という絵本だ。いつもの悪い癖が出て、 一目惚れ
で、内容も見ないで表紙だけで買ってしまった。
でかいでかいパパと小さな女の子の話だ。パパの大きさ
は並ではない。巨人だ。その割に足が小さくてかわいい。
その対照的な大きさの親子が、この世のものとは言い難
い可愛らしさだ。2人のほほえましいというか、愛らしい
かかわり方が、なんとも言えないぬくもりを感じさせてく
れる。
大きさの対比で、大人と子どもの違いを決める方法もある
が、この絵本における大人と子どもの違いは、大小の比較
を越えて強調されている。その違いを飛躍しての表現だと
すれば、現実を超えた絵本の世界ゆえに許される試みかも
しれない。少々誇大化することで、絵本の魅力を高めてい
るとも言える。

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     「パパといっしょなら わたし なーんでもできちゃうんだ!」

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       「パパとあそぶの だいすき」
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    「パパってね どんなにいそがしくても わたしのはなしをきいてくれる」
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      「パパがかなしいときは わたしが よしよし してあげる」

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     「パパが じょうずに かみを くくってくれるから」

どの場面を見ていても、パパは優しくて、全てを大きく包み
込んでくれる。パパの大きさは、体の大きさだけではない。
心の大きさと広さの象徴だと言える。パパは、全ての要求に
応えながら、子どもの成長を見守り、自分の成長にもつなげ
ていくのだ。とにかく、ここに登場するパパの表情が優しく
て、どんなことにも、しっかり応えてくれる力を備えている、
パパの代表として描かれている。

過去にも、父親と子どものかかわりを描いた絵本はある。
『パパといっしょ』とても子どもの描く父親像が似ている
絵本で、私の大好きな絵本が2冊ある。
1冊は、ラルフ・ステッドマン作(安部直)『だあれ』架空社
だ。これまでにも紹介したことがあるような気がする。

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子どもの父親自慢は、まず父親が強くて、何でも持っていて、
不可能がないことだ。要は、スーパーマンであることだ。
強い、多い、大きい、長いといった、優性遺伝子をすべて持
ち合わせた万能の存在でなければならない。
例えば、耳が大きく、目がでっかく、鼻が大きく、歯が沢山
あることなどがあげられる。

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さらに、しっぽまであって、ゾウの鼻もあって、長いひげ
もあり、足もたくさんあるといった調子だ。

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ここまでくると、一体、自慢した父親の姿は、全部合わせ
ると、どうなってしまうのだろう。

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自慢も度が過ぎると、父親は誇りの存在ではなく化け物に
なってしまう。現実が的確に把握できる子どもならいいの
だが。いやいや、子どもにとって父親は、そのくらい自慢
したい存在だということだ。

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強い、大きい、沢山あることなどを並べ立てて、自慢すると、
自分の父親が妖怪に化けてしまったことに気づいて、後悔す
ることもあるということだ。

もう1冊も、子どもの父親自慢の本だが、こちらは、強さだけで
なく、かっこよさも自慢するのだから、少しハイカラになってい
るなっている。
アンソニー・ブラウン作(久山太一)『うちのパパって かっ
こいい』評論社
がそれだ。

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この作品も、父親を自慢するする子どもであることは同じ
だが、、前作と少々自慢の角度が違う。まず登場するもの
や父親のガウンが全てチェックで統一されていて、カッコ
いいと私も思う。
オオカミを追っ払う強さがあり、ジャンプ力、綱渡り、プロ
レスラーよりも強く、走ることも大食いも、水泳も力も、楽
しさも、体の大きさも、かわいらしさも賢さも、きれい好きも、
歌もサッカーも、とにかくすべてにわたって不可能がない。ま
さにスーパーマンだ。

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上の絵は、知る人ぞ知る、イタリアの3大テノールの一人と
して登場している。ホセ・カレーラスの代わりにお父さんが
歌っている。左がルチアーノ・パヴァロッティで右がプラシ
ド・ドミンゴだ。この絵をみただけで、私は単純に嬉しかっ
た。3大テノールのフアンであり、私もテノールだから、さら
に魅力を感じる。
他人が何と言おうが、子どもは自分のパパが大好きなんだ。

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最後になるが、今回の『パパといっしょ』によく似た絵
本で、
カール・ノラック文、イングリッド・ゴドン絵(
いずみちほこ)『ぼくのパパは おおおとこ』セーラー
出版
がある。

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またまた大男だが、子どもからすれば、大人は皆大きく見える。
当然のことだが、子どもにとって、この大きさの違いが、ミラク
ルをうみ出すのだ。この認識の落差が、頼もしさや、不可思議を
作り出し、尊敬の念を抱かせるということではないかと思われる。

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私などは、すでに子どもの方が大きくなっていて、尊敬もされな
いし、頼りにされることもない。ここまで見放されてくると、気
持ちは楽になる。
それにしても、子どもから頼もしく思われるような親になること
は、とても大切だし、親の責任でもある。子どもと対等になって、
殴り合って、子どもを傷つけるようなことがあってはならない。
虐待とか、DVとか、さかんに言われる時代にあって、子どもから
尊敬される威厳ある大人の生き方をしっかり根づかせたいものだ。

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オオイワカガミ(2019 4 19 自宅庭)


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Commented by midorigame at 2019-04-21 16:31 x
永らくご無沙汰している間に春がやってきました。
春を探しにあちこちに出かけられているようですね。
さて、絵本のパパは強くて大きくて格好いい~感じですが、昨今の平成のパパを見ていると強いというイメージはあまり感じられないような気がするのですが・・・。
”優しい~”というイメージが表に出すぎているような印象が強いです。でも、子供と一緒に楽しんで遊んでいるという光景は目に浮かびます。
自分の子供を大事にして、DVや虐待の無い世の中になっていって欲しいですね。
Commented by ehondamari at 2019-04-21 17:28
midorigameさん
久し振りですが、変わりないですか。
不順な天候に悩まされているうちに、もう5月が目の先に来ました。今日の琵琶湖は、春霞がかかったような、黄砂でぼんやりした山々が見えます。
平成のパパは、それなりに頑張っているのではないでしょうか。昭和のパパの私は軟弱なので、反論できません。絵本の中のパパは、皆頼もしく書かれていて、自分のパパと比較して、うなずいているのか、がっかりしているのか。どちらでしょう。
Commented by こあら at 2019-04-22 00:22 x
「うちのパパってかっこいい」の、子どもを抱きしめているパパの表情がいいですねぇ
今、屋久島に来ています。黒味岳登山している時に、山椿と似ているリンゴ椿の花を見ました。ヤクザルたちが、リンゴ椿の花を摘み蜜を舐める様子がとてもかわいいそうです。
南国うらしまそうも沢山見る事ができました。新緑の緑が鮮やかな中のリンゴ椿の赤い花は、鮮やかな美しさでした。
標高1831メートルの黒味岳の頂上には、40メートルほどの高さの巨石が乗っていて、不思議な光景です。そこによじ登り上でお弁当を食べ、爽快な気分❣️
白谷雲水峡は、もののけ姫のモチーフになったとされる「苔むす森」があり、一面びっしりと苔むす森の中で、光る新緑の季節と、うっとりと見惚れる美しさでした。
Commented by ehondamari at 2019-04-22 08:05
こあらさん

屋久島へ行っているのですね。いいですね。まずは体力があるということですね。私には到底無理だと思います。
リンゴ椿とはどんな花でしょうかね。でっかい丸い花でしょうか。屋久島は行きたいと願いながら、一度も行けていません。代わりに焼酎の「三岳」を呑む程度です。
しっかり楽しんできてください。
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by ehondamari | 2019-04-19 22:15 | 絵本と子育て・保育 | Comments(4)

絵本で潤いのある生活を楽しむ


by ehondamari